養老孟司さんのインタビュー
養老孟司さんのインタビューが放送されていました。
『仕事に対する姿勢や人間関係について考える』というテーマで、
養老さんということもあって、クルマを止めて聞き入ってしまいました。
養老さんの講演を聴いたことがあるのですが、
使われる言葉は簡単な言葉が多いのに、
わかったような、わからないような不思議な語り口が、
わたしには引きつけられてしまうようです。
さて、インタビューの内容は最近出版した、
新潮社の『養老訓』という本からの話で始まりました。
この本の中に、『感覚と概念』という話があります。
まず『感覚』というのは違うものである。
一人ひとり感じるものは全て違う。
例えば夫婦であっても、
自分が見ているものは相手の顔であり、
もうそれだけで違うものを見ている事になる。
だから感じ方が違って当たり前。
実に深いですね。
言っていることが伝わりますか?
だからこそ、人は『概念』という共通のものを使って
お互いに通じるようにしている。
『テレビ』という概念で簡単に言ってしまうが、
実際には置かれている環境や形態など、
一つ一つ違っているものである。
しかし、『概念』を使うことでお互いにわかるようにしている。
今の人は概念的な考え方ばかりして、
感覚的な考え方をしなくなっているということらしい。
要するに一般化し過ぎてしまって、
それぞれの違いを考えることをしなくなっている。
そういう話じゃないかと思います。
話は格差社会の話に移ります。
『格差よりメシ』
田舎では格差なんて問題にならない。
都会では、どんどん社会が複雑になっている。
10軒の店がやっていることを、
効率化を考えて1軒でやるようになると、
残りの9軒は暇にしなければならなくなる。
そうやって人間がいらなくなってきている。
社会は人間のためにあるはずなのに、
仕事の効率のために成り立つようになっている。
そうやってお年寄りや子供にしわ寄せが行く。
子供は勤労に値しないという意味。
10軒でやっていたことが1軒になる。
すると仕事を心得ていないと
誰も使ってくれなくなる。
『仕事は世間の預かりもの』
そう思って、ちゃんとやらないとダメ。
大学という所は、何をやってもいい所だった。
しかし、金も渡さずに何やってもいいと子供に言ったら
ろくな事はしないでしょ。
だから私は東大で、自分らしいやり方をした。
でも、好きな仕事をしています。
昆虫が好きで、自然を相手にしている。
自然は都会と違って変化がいっぱいある。
前半の話にも通じる話だけれども、
都会にあるものは概念論で画一化してしまっている。
しかし、自然は一時として同じことはありません。
自然を注目するということは、
『違い』というものを理解していくことではないかと思いました。
障害者施設で働いて十数年。
一人ひとり違う障害を持つ人たちと過ごしていて、
それぞれをそれぞれの人として理解しようと
ジッと観察してみたり、いろいろ話しかけてみたり、
同僚からケースを教えてもらったり。
それでもまだまだ判らないことばかり。
それでもわたしは『好きな仕事をしている』と言い切れます。


